トランプ大統領が、トランスジェンダーの米軍入隊を禁止に! セレブが反発表明する一方で、当事者たちの考えは?

ドナルド・トランプ大統領は、7月26日、トランスジェンダーの人々の米軍への入隊を禁止にするという考えを表明。オバマ前政権が、昨年、下した入隊を認める決定を覆すこととなった。多くのセレブが次々と反発を明らかにする中で、トランスジェンダーの人々自身はどう感じているのか。Elle、Seventeenに対し、当事者たちが考えを寄せている。

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【キャスリン・シュミッド軍曹の場合】

妻子ある男性が、“キャスリン・シュミッド”になるまで

シュミッド軍曹は、トランスジェンダーであることをオープンにしている女性で、現在、33歳。彼女は軍に属して12年になる。「まず、私は兵士になったトランスジェンダーではありません。私はトランスジェンダーになった兵士なのです。まず何よりも、私は兵士なんです。これからもそれは変わりません。上からクビを切られるまではね」

最初は2008年。自殺願望を覚え、「自分は男性であるべきではない」と悟ったという。2013年にイラクへ派兵されたとき、本人いわく「考える時間が山ほどあった」ことで、自分自身の考えを認めるにいたり、クリスマスに帰国した際、妻と娘たちにカミングアウト。妻とは別居を経て、離婚することとなった。

2014年、再び自殺願望に悩まされたシュミッド軍曹は、「橋から飛び込もうとして考えた。娘たちにとって、生きているトランスジェンダーの親の方が、死んだ父親よりはマシだろうと」と入院。精神的な治療を経て、仕事がないときは女性として過ごすようになり、法的にも2015年6月に改名をすませた。そしてワシントンへの転属を経て、ついに昨年10月より、軍において“女性兵士”として勤務できるようになったという。彼女はトランスジェンダーの女性と結婚した現在も、先の結婚で得た娘たちとの交流も続けているという。

7月26日を経て

「私は軍人であることが好きなんです。そして記録を見れば、優れた兵士であることを示してくれる。軍が(今回の措置により)真っ二つになることや、優秀な軍人を失うような事態にはなってほしくない」

「次に私が何をするか、それは仕事を続けることです。毎朝のワークアウト、軍服を身に着けて、任務に就く。それが兵士のすることだからです」

シュミッド軍曹は、逆境に直面する人々にとってのロールモデルになりたいと話しており、トランスジェンダーの軍人が勤務を続けられるよう、闘い続けることを望んでいるという。

「世間には、私たちは軍に相応しくないと言う人々がいる。(中略)私たちがいまもっともやらなくてはいけないことは、彼らが正しくないと証明することです。もし私たちがあきらめてしまえば、彼らが正しいことになってしまう。だから同じトランスジェンダーの仲間にアドバイスをするとすれば、あきらめるな、義務を果たせ、全力を尽くして責任を果たせ、もういいと言われるまで続けろ、ということです」

 

【入隊を希望する大学生“ギャヴィン”の場合】

7月26日を経て

「高校1年生のころから、軍人になることを夢見てきました。私の叔父が軍人で、軍を通じて国全体を助けられるという点がいいと思った。しかしトランプ大統領が昨日、私のようなトランスジェンダーが軍に属することを、“受け入れず、許さない”と発表したことから、私は人生における目標や信念を失ってしまいました」

(中略)

「7月26日、目が覚めてから、ベッドで携帯をチェックしました。ニュースの通知があったので、すぐにツイートをチェックしました。5回は読まなくてはならなかった。とても腹が立ちました。(中略)家族は自分に、このトランスジェンダー禁止措置が、実際に法として成立することはないだろうと言ってくれます。この日はベッドで1日過ごしました。誰かと話す気にもなれなかった」

これから

「(トランスジェンダーの入隊禁止は、予算縮小の一環であるという大統領の意見に触れ)重要なのは、すべてのトランスジェンダーは、人それぞれ違うということなのです。手術を受ける者もいれば、受けない者もいる。すでに軍に入隊しているトランスジェンダーの中には、入隊以前に性別を換えた者もいるし、入隊後に換えたの場合もあります。必用な費用を、自腹を切って工面したトランスジェンダーだっている。どうあれ、トランスジェンダーの人々は、“重荷”などではない」

「まず最初に、私は軍に勤務するという目標を失いました。でもそのあとに、トランプから“ノー”を突き付けられたことで、より決心を固くしたんです。私はこの国が、何を優先すべきか理解し、私自身が自分がやりたいこと、やるべきこと、つまり軍服を身に着け、国に奉仕できるようになると固く信じています」