第60回グラミー賞が、現地時間1月28日に、米ニューヨークにて開催された。受賞者の偏りを指摘された主催者が、「女性はステップアップする必要がある」と弁明した。
今年のグラミー賞は、主要4部門のうち、新人賞を除くすべてをブルーノ・マーズが独占。同部門をかろうじてアレッシア・カーラ(21)が制したものの、その他のカテゴリーでも男性アーティストが女性アーティストに比べ、多く受賞する傾向にあった。
この結果に際して、かつて「#OscarSoWhite=アカデミー賞は白人だらけだ」と揶揄されたときと同じように、すぐさま「#GrammysSoMale(グラミーは男だらけ)」との声が発生。アワードを主催するナショナル・アカデミー・オブ・レコーディング・アーツ・アンド・サイエンス(ザ・レコーディング・アカデミー)の会長ニール・ポートナウが、この一件に言及している。Varietyが伝えた。
「まず何より、女性は心と魂に独創性を持っており、ミュージシャン、エンジニア、プロデューサーとして、高いのレベルで業界の一員になることを望んでいるということです。彼女たちはステップアップする必要があります。なぜならば、彼女たちは業界に歓迎されているのだから」
ポートナウ氏は、「個人的に、あなた方女性が体験してきたような、挫折の経験はないけれども」と前置きした上で、「業界全体」を主語に、女性に限定せず、「クリエイティブになりたい方、ペイ・イット・フォワード※し、次の世代のアーティストを作り上げたい、すべての人々」を、迎え入れる土壌を作り、チャンスを提供すると訴えた。
※Pay it forward … 「恩送り」と訳されることも。他人から受けた恩を、別の人に返していくという考え方。
2度の「最優秀アルバム賞」を含む、10度の受賞歴を含むテイラー・スウィフト(28)を欠いた今年の授賞式については、「今年は彼女の年じゃなかった。来年、会えることを期待している」と述べるにとどめている。
一方で、グラミー賞のプロデューサーを務める、ケン・アーリッヒは、同じ質問を受けた際、「答える立場にない」と回答を拒否。自身は「テレビ番組」としてのグラミー賞の演出に関わっただけであり、受賞結果には関与していないと述べた。
しかし今年のグラミー賞において、最優秀アルバム賞にノミネートされていた5人のうち、女性として唯一ノミネートされていたロード(21)のみが、ソロでパフォーマンスする機会がなかった(※ジェイ・Zは辞退している)。この件についてアーリッヒ氏は、「間違いかどうかはわからない。選択の問題だ」とコメント。「彼女は素晴らしいアルバムを作り上げたが、すべてのアーティストを出演させられるわけではない」と話した。
最優秀カントリーアルバムを受賞したカントリー歌手のクリス・ステープルトン(39)は、受賞者、アーティストの立場から「#GrammysSoMale」に苦言を呈している。
「平等は、より多くの階層で語られるべきテーマだ。どのように受賞作が投票で選ばれたかはなんとも言えないけれど、世界にはたくさんの素晴らしい女性によって作られた、素晴らしいミュージックが数多く存在する」