平昌五輪に姉はコリア代表として、妹はアメリカ代表として出場! ブラント姉妹の一味変わったオリンピック

同じ苗字を持つ姉妹なのに、どうして? ブラント姉妹にとっての平昌オリンピックは、他のアスリートたちとはちょっと違う体験となったようだ。

妹ハンナ・ブラント(24)はアメリカ代表として、姉マリッサ・ブラント(25)はコリア(韓国・北朝鮮合同チーム)代表として、平昌オリンピックの女子アイスホッケーに挑んだ。

姉妹がふしぎな運命をたどったのには、理由がある。実は姉マリッサは、1993年、生後4か月のときに養女として韓国からブラント家に引き取られたからだ。養子をもらう許可が下りたのと、妹ハンナの妊娠が判明したのは同じタイミングだったとのことで、姉妹の母ロビンさんは、「マリッサを引き取る妨げになるのでは?」との恐れから、エージェントに妊娠を黙ったままマリッサを迎えた、というエピソードがあるのだとか。

Cosmopolitanによれば、始めはフィギュアスケートを習っていた姉妹だが、のちにそろってアイスホッケーへ転向。進学先こそ異なったものの、大学まで第一線でのプレイを続けるほどに成長した。妹ハンナは大学時代、ソチ五輪代表入り目前までいったものの、惜しくも落選。当時は「もう少しで叶いそうだったのに」と深く落ち込んだことを認めているが、努力を続け、この挫折から「たくさんを学び」ついに平昌五輪への出場権を得た。

一方の姉マリッサにとって、五輪出場は現実的ではなかったとのこと。2015年に大学卒業後、ホッケーを続けるつもりすらなかったというが、妹ハンナのコーチの妻が韓国チームのコーチだった、という縁から国をまたいで代表入りの誘いを受けることに。カナダ・アメリカから招かれた6人のうちのひとりとして、トライアウトに臨んだ。

実はマリッサ・ブラントは、養女としてアメリカへ渡って以来、一度も韓国を訪れたことがなかったという。「姉妹旅行したいよね」と話していたところ、オリンピックという大舞台で実現することになってしまったのだとか。家族で自身が生まれた国を訪ねることは、マリッサにとって「特別」なことだという。

「こんなことが起きるなんて、夢にも思わなかった。こんな形でこの国に帰ってくることになるとは」と話すマリッサは、アメリカ、韓国、どちらの国に対しても健闘を祈っているという。「韓国のみなさんが、誇りに思えるようにしたい」

Family ❤️ so thankful I could spend the holidays at home!

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また、平昌オリンピックにマリッサ・ブラントは、“パク・ユンジュン(Park Yoon Jung)”という生まれたときの名前を背負って出場している。その理由は、生みの母を探すため。「もしかしたら、母が目にしてくれるかも。それがかなわなくても、変な形だけど母が誇りに思ってくれれば。娘だと気が付いていなくてもね」

Final GAMEDAY (vs. Sweden) in the Olympics 🇰🇷 legggooooo girls #pyeongchang2018

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もちろん、ライバル同士としてそれぞれに平昌入りしたマリッサとハンナだが、姉妹仲にヒビが入った様子はない。

「まず最初にすること:できるだけ早く妹を見つける! ついにオリンピック村に来たなんて信じられない」(マリッサ)

「チームアメリカの一員になれるなんて、こんな名誉はない。オリンピックでマリッサと会えるなんて、こんなにワクワクすることもない」(ハンナ)


なお、姉マリッサ・ブラント/パク・ユンジュンのコリア代表は、2月20日、スウェーデンに敗れ、全体8位で全試合を終えた。対して妹ハンナ・ブラントはアメリカ代表として、現地時間2月22日に行われるカナダとの決勝戦に挑む予定だ。なお、オリンピックの舞台で姉妹が直接対戦する機会はなかった。